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【4P10エンジン】三菱ふそう キャンター マフラーから大量に白煙が出ている原因

今回は三菱ふそうの4P10エンジンのキャンターが排気マフラーから大量の煙が排出している症状に対処し修理したのでご紹介する。

三菱ふそうが誇る4P10エンジン搭載のキャンターのトラブルは凄く多い。アホ程多い。いやホントに。

そのおかげか、あまりにも故障が多い4P10エンジン搭載のキャンターの中古車は安く手に入る。という噂すらある。(。知り合いの車屋が言ってた)

キッチリとメンテナンスしていても問題が発生(故障)するのが4P10エンジン搭載のキャンター。

今回の車両はいつも駐車している駐車場の地面にオイル溜まりが出来ているとお客さんから連絡が入りました。

マフラーの状態は下記。

見るかぎりエキゾーストのマフラーパイプ周辺は大量のエンジンオイルが付着を確認。

状態としては凄く悪いし危険な状態、DPD再生モードに入るとエンジンやマフラー周辺は高温になる。

もしかすると漏れているオイルが燃えるかもしれないし、車両火災になるかもしれない。

それ以前にボタボタに漏れたオイルが路面を汚しまくっている状態だ。

後続車がオイルを踏んでしまうとスリップ事故の原因にもなったりもする。バイクがオイルを踏んでしまうと転倒にもつながってしまう。

それにエンジンオイル漏れを放置するとエンジンの潤滑機能や冷却効果が低下する。

最悪な場合はエンジンブローを引き起こす、その場合はエンジンの乗せ換えとなり高額修理になってしまう。

修理費用を抑えたいなら今のうちに早急に修理しないといけない。

運営者のジョンイワシです。現役の整備士です。

ということで診断を開始した結果ですが。

エンジンオイルは予想したとおり凄く減っていた。現状のオイルレベルはゲージでの確認でオイル量はLOWレベル。

アクセルを吹かすと白煙が凄い、もうターボチャージャーの損傷が考えられる。

今回はPCVフィルターの詰まり&ターボチャージャーの交換を視野に入れて作業を進めた。

この記事にたどり着いたということは、ある程度の車の知識がある人がたどり着いた記事だと思います。

なので各ところどころの詳しい解説はしません。

白煙の発生とオイル漏れの原因はPCVフィルターの詰まり

で、調べつくした結果オイル漏れの原因は、そもそもの原因はPCVフィルターの詰まりが始まりでした。

4P10エンジンPCVフィルターは遠心式のフィルター。ブローバイガスとオイルがエンジン力で分離できず大量のエンジンオイルをターボが吸引して大量の煙が発生。

消費したエンジンオイルは消費しつづけ、最終的にエンジンオイルが不足となりターボが損傷してたって結論に至りました。

というわけで下記で順を追って説明します。

まずはPCVフィルターの解説から簡単に説明する下記。

キャンターのPCVフィルターは遠心分離式のフィルター。

4P10エンジンのPCVフィルターは正常なときはブローバイガスに含まれるオイルミストを分離してくれる仕組み。

つまりPCVフィルターが詰まってしまうとブローバイガスに大量のオイルを含むようになる。

結果、ターボチャージャー本体の直前の吸気パイプにオイルミストを含んだブローバイガスが戻されて

ターボチャージャーがオイルを吸い込み、ターボ本体からオイルが漏れてターボからのオイル漏れが発生するという現象が発生。

その他の各部を探検したところ、各ところどころのオイル漏れも酷い状態。

特にオイルパンからのオイル漏れが酷い状態です下記。

オイル漏れの原因は、PCVフィルターが詰まってしまったことでブローバ―ガスが抜けなくなり、クランクケース内の圧力が上昇。

結果、オイル漏れが発生といったところかと思います。

白煙を確認するのにマフラパイプを外し排気ガスを目視で点検

白煙を確認するのにマフラーパイプを取り外して目視で確認する。

フロントパイプを外しアクセルを全開で下記のようなありさま。煙がモウモクと凄くて目が痛い。

アクセルを全開でターボの加給圧の上昇と同時に大量のオイルが最大加給圧の時にターボがオイルを吸引したと同時に白煙が発生。

こんな感じです下記。

白煙のおかげで目がしゅぱしゅぱで大気汚染が酷い、地球温暖化で環境庁も驚き。

ということで今回はPCVフィルターとターボの交換で決定。

PCVフィルターとターボとオイルパンパッキンを交換する

ターボーの交換となった場合の費用はお客さんお負担が大きい。だからPCVフィルターのみの交換で作業を終了したいのがホンネです。

だけど今回の煙の量はハンパなく多すぎです。ここまでの煙が出るとターボ本体も交換するのが定番。

入庫時、エンジンオイル量を確認したらオイルを確認できなかったから煙の量からしてターボの焼き付きの可能性が高い。

4P10エンジンのみならずPCVフィルターの詰まりはオイル漏れが発生する。

今回のような症状の場合はターボと同時交換がセットがベストです。

ちなみに今回のキャンターは冷凍車です。

冷凍車両はPCVフィルターまでアクセスするには冷凍ベルトを外してからの作業になります。

冷房機ベルトの取り外しは簡単ですが、ベルトの調整にはSST(特殊工具)の用意が必要。

4P10エンジンの冷凍機仕様のベルト交換はSST(特殊工具)がなければベルト調整が出来ない。冷房機搭載車はのPCVフィルターの交換の時はチョットだけ苦労します。

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PCVフィルターの取り外しはスナップリングプライヤーを利用する

PCVフィルターの取り外しはスナップリングプライヤーを利用します。

スナップリングプライヤー

4P10エンジンのPCVフィルターの取り付け位置は手が入りずらくアクセスが凄く悪い。

だけど落ち着いて作業すると外せます。

又キャンターはまだローザに比べ、手や工具を入れるスペースがあります。

比較的キャンターの方が作業しやすいから最高です。ローザはちょっと作業しにくいかも。

PCVフィルターの取り外している様子は下記。

  • 工具はスナップリングプライヤーを利用、先端がL 型のタイプ方が作業しやすくスナップリングを外しやすい

スナップリングを外したらフィルター本体を外します。

フィルターを外す時にはブレーキ調整用の工具で取り外すとスムーズに取り外すことが出来きます。

こんな感じです下記。

今回の作業で取りはずしたPCVフィルターに関係する部品とその際に使用した工具は下記です。

オイルパンのオイル漏れはパッキンも交換した

エンジンオイルパンのパッキンからもオイル漏れ酷いのでパッキンを交換します。

エンジンとミッションの間に挟んであるスポンジが邪魔なので外します。

スポンジはボルト2本を緩めて下に引っ張ると外れます。

トランスミッションまでエンシンオイルでギトギトな状態。

オイルパンを外した状態は下記です。

オイルパンを取りはずしたらオイルストレーナーのOリングとオイルパンパッキンを同時に交換します。

オイルパンをキレイに洗浄して後は取り付けてオイルパンパッキンの交換作業は終了です。

ターボ本体のフィンの軸に大きなガタはないがターボは交換する

ターボ本体のフィンの軸のガタは出てない、だけどエンジンオイルが凄く減っていたから軸の焼き付きの心配からターボ本体を交換します。

今回のターボはリンク品を使います。

ターボのリンク品がネットでも手に入ることに驚いた。

TKG-FEA50 ターボチャージャー 4P10T
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取り外したタービンは返却しシャフトホイールにキズがやフィンに損傷がないか点検してもらい後々に返答を頂くことになりました。

あとは各部パイピングを取りはずして清掃します。

ということでターボ本体の交換作業が終わりターボの初期設定を行い作業は終了。

今回の作業についてはGスキャンZを用いてターボチャージャーの初期設定を完了です。

※ターボチャジャーを交換したら初期設定は必ず必要。

4P10エンジンのPCVフィルターはススの詰まりが早い

PCVフィルターが詰まると

  • エンジンオイル表示が点灯
  • ブザーが鳴る

4P10エンジン搭載のキャンターはPCVフィルターが詰まってくるとメーターパネル内にエンジンオイル表示が点灯する仕組み。

と同時にブザーが鳴るようにプログラムされているのでブザーがなったらPCVフィルターの詰まり確定です。

エンジンオイル表示とブザーを止める方法

PCVフィルターに溜まったススを吹っ飛ばすには。

走行を一時やめて駐車し、アクセル全開でエンジン回転数が4000回転以上でエンジンを2分以上全開で回す。(住宅街でやるとブチ切れられる)

すると、エンジンオイル表示が消灯すると同時にブザーが鳴りやむ

エンジンオイル表示の消灯とブザーを止める詳しいやり方は下記です。

  1. 安全な位置で停車し駐車ブレーキを確実に引く
  2. シフトレバーをニュートラル位置に、DUONIC2.0車はシフトレバーをP位置にする
  3. エンジンを始動しエンジン回転を4200rpmになるようにアクセルを踏み込み2分間そのままアクセルを踏み続け戻す
  4. エンジン回転がアイドリング回転になったらウォーニングランプは消える
  • 上記の作業を行うとPCVフィルターの交換時期を約50時間延長することが出来る

とにかくアクセル全開でレッドゾーンまで回すんだ。是非やってみてほしい。

PCVフィルターは車検毎に交換したほうがいい

PCVフィルターを一度も交換していないなら即交換です。

各ところどころでも言ってるけどPCVフィルターを交換しないとエンジンオイル漏れが発生する。

交換履歴がないなら早急に交換してほしい、または車検の時には必ず交換してほしいパーツ。

NOXセンサーやDPDマフラーはオイルでギトギト

費用を抑えるならDIYでPCVフィルターの交換で作業を進めるのもアリ。

だけど作業に自信がないかなプロに任せるべき。

プロならDPDシステムを深く理解しているだろうからNOXセンサーの状態やDPDマフラーの差圧差の状態を必ず確認してくれる。

プロはラムダセンサーやDPDマフラーの状態を確認してくれる下記。

オイル漏れの影響でラムダセンサーのススが酷い。ホントは交換した方がいいけど今回は見積に入れていなかったから掃除して再利用する。

DPDマフラーも詰まっていた。

今回は強制燃焼作業を行い、お客さんには現在の状態を全て説明しDPDシステムの異常が頻繁に発生した場合に各部センサーを交換することにした。

ホントは吸排気を交換するのがベストだけど、全部を交換するとキリがないし、お客さんの費用面での負担がデカくなる。

だからしばらく様子をみて頂き走行してもらうことにした。

ということで今強制燃焼を実施し作業を終了です。

PCVフィルターの交換はDIYで作業は可能か?

PCVフィルターの交換はジャッキアップせずに行える作業だから簡単ちゃー簡単な作業だけど、何度も言うように4P10エンジンのエンジンルームは狭くて暗い。

その為、作業するなら長時間使える作業用ライトやスナップリングプライヤー・10mmのボックスレンチ&ラチェットが必要。

PCVフィルターの交換作業は30分程で完了する。

ただし冷凍機搭載車両のPCVフィルターの交換作業は難易度が高い。

冷凍機が搭載されている車両はベルト交換に特殊工具が必要。

冷凍ベルトの調整方法は特殊工具でプーリーを回転させてベルトを調整するタイプ。

ベルトの貼りすぎは冷凍機のコンプレッサーに負担が掛かり故障の原因となる、だから自信がないならプロに作業してもらった方が安心。

とはいえ4P10エンジンのPCVフィルターの詰まりは早いしスグに詰まってしまうからDIYで作業した方が費用を抑えられる。

この記事を読んでキャンターのPCVフィルターを交換しなきゃ。って思ってくれると凄く嬉しい。

定期的なPCVフィルターの交換はトラブルを事前に回避できる。

ターボチャージャーを交換する際にはPCVフィルターの交換は必須。
定期的なPCVフィルターの交換は必要でありターボチャージャーからオイルが漏れだしたら、まずはPCVフィルターを疑うのもアリ。
整備解説解説書をよく読み、4P10エンジンの仕組みをよく理解し故障診断ならびに修理に向き合っていただけると俺は凄く嬉しい。
ユーザーさんがこの記事にたどり着いたならば定期的なオイル交換やPCVフィルターの交換は必ず行ってほしい。
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