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【4P10エンジン】三菱ふそう キャンター マフラーから大量に白煙が出ている原因

三菱ふそうのキャンターが排気マフラーから大量の煙が排出している症状に対処し修理したのでご紹介する。

4P10エンジン搭載のキャンターのトラブルはとにかく多い。

キッチリとメンテナンスしていても4P10エンジン搭載のキャンターは故障するから何が起きてももう驚かない。

もう素敵。

ということで、いつも駐車している駐車場の地面にオイル溜まりが出来ているということで修理した。

まずは状態を画像にて確認してほしい下記。

現状、エキゾーストのマフラーパイプ周辺は大量のエンジンオイルが付着している状態で凄く危険な状態。

このまま放置すると恐らく火災が発生する。

ボタボタ漏れたオイルが地面に汚しまくっているから後続車、いや、バイクがオイルを踏んでしまうとスリップ事故を起こしてしまう。

それにオイル漏れを放置するとエンジン潤滑されずエンジンブローを引き起こす。

整備士歴20年の自動車整備士です

ということで診断を開始した結果、エンジンオイルは予想したとおりで減っていた。

もうターボチャージャーの損傷が考えられるからPCVフィルターの詰まり&ターボチャージャーの交換を視野に入れて作業を進めた。

という記事の長い前フリ。

白煙の発生とオイル漏れの原因はPCVフィルターの詰まり

で、調べつくした結果オイル漏れの原因はPCVフィルターの詰まりから始まり

ブローバイガスとオイルが分離できず大量のエンジンオイルをターボが吸引して大量の煙が発生。

最終的にターボも損傷してたから順を追って説明するけど、まずはPCVフィルターの解説から簡単に説明する下記。

キャンターのPCVフィルターは遠心分離式のフィルターなんだ。

4P10エンジンのPCVフィルターは正常なときはブローバイガスに含まれるオイルミストを分離してくれる仕組み。

つまりPCVフィルターが詰まってしまうとブローバイガスに大量のオイルを含むようになり

結果、ターボチャージャー本体の直前の吸気パイプにオイルミストを含んだブローバイガスが戻されて

ターボチャージャーがオイルを吸い込みターボ本体からオイルが漏れてターボからのオイル漏れが発生する。

各部を探検したところ、各ところどころのオイル漏れが酷い、特にオイルパンからのオイル漏れが酷い状態なんだ下記。

白煙を確認するのにマフラパイプを外し排気ガスを目視で点検

白煙を確認するのにマフラーパイプを取り外して目視で確認したら排気ガスの煙が凄くて目が痛い。

アクセルを全開でターボの加給圧の上昇と同時に大量のオイルが最大加給圧の時にターボがオイルを吸引。

したと同時に白煙が発生するという状態は下記。

白煙のおかげで目がしゅぱしゅぱで大気汚染で地球温暖化で環境庁も驚き。

ということで今回はPCVフィルター交換となったんだ。

PCVフィルターとターボとオイルパンパッキンを交換する

ターボーの交換となった場合の費用はお客さんお負担が大きい、だからPCVフィルターのみの交換で作業を終了したいのがホンネ。

だけど今回の煙の量はハンパなく多く、ここまでの煙が出るとターボ本体も交換するのが定番。

入庫時、エンジンオイル量を確認したらオイルを確認できなかったから煙の量からしてターボの焼き付きの可能性が高い。

4P10エンジンのみならずPCVフィルターの詰まりはオイル漏れが発生する。

今回のような症状の場合はターボと同時交換がセットがベストなんだ。

ちなみに今回のキャンターは冷凍車だからPCVフィルターまでアクセスするには冷凍ベルトを外してからの作業になる。

冷房機ベルトの取り外しは簡単なんだけど、逆に取り付けはプーリを外した方がスムーズに取り付け出来るんだけど

ベルトの調整にはSST(特殊工具)の用意が必要。

つまり、SST(特殊工具)がなければベルト調整が出来ないから冷房機搭載車はの場合はPCVフィルターの交換の時はチョットだけ苦労する。

PCVフィルターの取り外しはスナップリングプライヤーを利用する

PCVフィルターの取り外しはスナップリングプライヤーを利用する。

4P10エンジンのPCVフィルターの取り付け位置は手が入りずらくアクセスが凄く悪い。

けど落ち着いて作業すると外せる。

又キャンターはまだローザに比べて手や工具を入れるスペースがあるから比較的キャンターの方が作業しやすいから最高。

なんだけどローザのエンジンルームは絶望するぐらい狭すぎて手が入らない、ウンコ。

PCVフィルターの取り外している様子は下記。

  • 工具はスナップリングプライヤーを利用するんだけど先端がL 型のタイプ方が作業しやすくスナップリングを外しやすい

スナップリングを外したらフィルター本体を外す。

フィルターを外す時にはブレーキ調整用の工具で取り外すとスムーズに取り外すことが出来るからオススメ。

今回の作業で取りはずした部品とその際に使用した工具は下記。

オイルパンのオイル漏れはパッキンも交換した

エンジンオイルパンのパッキンからもオイル漏れ酷いからここも修理するんだけど。

エンジンとミッションの間に挟んであるスポンジが邪魔す義ぎ、スポンジはボルト2本を緩めて下に引っ張ると外れる。

トランスミッションまでオイルでギトギトな状態です。

オイルパンを取りはずしオイルストレーナーのOリングとオイルパンパッキンを同時に交換した。

ターボ本体のフィンの軸に大きなガタはないがターボは交換する

ターボ本体のフィンの軸のガタは出てないんだけどエンジンオイルが凄く減っていたから軸の焼き付きの心配からターボ本体を交換することにした下記。

今回のターボはリンク品を使う。

取り外したタービンは返却しシャフトホイールにキズがやフィンに損傷がないか点検してもらい後々に返答を頂くことになりました。

あとは各部パイピングを取りはずして清掃します。

ということでターボ本体の交換作業が終わりターボの初期設定を行い作業は終了。

今回の作業についてはGスキャンZを用いてターボチャージャーの初期設定を完了した。

※ターボチャジャーを交換したら初期設定は必ず必要。

4P10エンジンのPCVフィルターはススの詰まりが早い

PCVフィルターが詰まると

  • エンジンオイル表示が点灯
  • ブザーが鳴る

4P10エンジン搭載のキャンターはPCVフィルターが詰まってくるとメーターパネル内にエンジンオイル表示が点灯する仕組み。

と同時にブザーが鳴るようにプログラムされているのでブザーがなったらPCVフィルターの詰まりは確定だと思ってもらっていい。

エンジンオイル表示とブザーを止める方法

PCVフィルターに溜まったススを吹っ飛ばすには、走行を一時やめて駐車し、アクセル全開でエンジン回転数が4000回転以上でエンジンを2分以上全開で回す。

すると、エンジンオイル表示が消灯すると同時にブザーが鳴りやむ

エンジンオイル表示の消灯とブザーを止める詳しいやり方は下記です。

  1. 安全な位置で停車し駐車ブレーキを確実に引く
  2. シフトレバーをニュートラル位置に、DUONIC2.0車はシフトレバーをP位置にする
  3. エンジンを始動しエンジン回転を4200rpmになるようにアクセルを踏み込み2分間そのままアクセルを踏み続け戻す
  4. エンジン回転がアイドリング回転になったらウォーニングランプは消える
  • 上記の作業を行うとPCVフィルターの交換時期を約50時間延長することが出来る

とにかくアクセル全開だ、是非やってみてほしい。

PCVフィルターは車検毎に交換したほうがいい

PCVフィルターを一度も交換していないなら即交換すべきなんだ。

各ところどころでも言ってるけどPCVフィルターを交換しないとエンジンオイル漏れが発生する。

交換履歴がないなら早急に交換してほしい、または車検の時には必ず交換してほしいパーツだ。。

NOXセンサーやDPDマフラーはオイルでギトギト

費用を抑えるならDIYでPCVフィルターの交換で作業を進めるのもアリ。

だけど作業に自信がないかなプロに任せるべき。

プロならDPDシステムを深く理解しているだろうからNOXセンサーの状態やDPDマフラーの差圧差の状態を必ず確認してくれる。

ちなみにオレもプロだから今回のキャンターのNOXセンサーとDPDマフラーの状態を確認しておいた下記。

ススがヒドイからNOXセンサーは交換した方がいいが、今回は見積に入れていなかったから掃除して再利用する。。

DPDマフラーも詰まってはいるが、強制燃焼でいくことにしお客さんには現在の状態を説明しDPDシステムの異常が頻繁に発生した場合に各部センサーを交換することとした。

ホントは吸排気を交換するのがベストだけど、全部を交換するとキリがないし、お客さんの費用面での負担がデカくなるからオレはしない。

様子をみて頂き走行してもらうことにした。

ということで今強制燃焼を実施し作業を終了した。

PCVフィルターの交換はDIYで作業は可能か?

PCVフィルターの交換はジャッキアップせずに行える作業だから簡単ちゃー簡単な作業。

だけど何度も言うように4P10エンジンのエンジンルームは狭く暗い。

その為、作業するなら長時間使える作業用ライトやスナップリングプライヤー・10mmのボックスレンチ&ラチェットが必要。

作業は30分程で完了するんだけど自分ではムリだと思うならプロに依頼することをオススメする。

というのもキャンターは冷凍機用のベルトが搭載されている場合に特殊工具でプーリ―を回転させ、ベルトを外さないとPCVフィルターは外すことが出来ない仕組みなんだ。

それに冷凍ベルトの調整方法はプーリーを回転させてベルトを調整するタイプ。

ベルトの貼りすぎは冷凍機のコンプレッサーに負担が掛かり故障の原因となるからプロに作業してもらった方が安心。

とはいえ4P10エンジンのPCVフィルターの詰まりは早いしスグに詰まってしまうからDIYで作業した方が費用を抑えられるし

定期的なPCVフィルターの交換はトラブルを事前に回避できるから

この記事を読んでキャンターのPCVフィルターを交換しなきゃ、って思ってくれると凄く嬉しい。

自己紹介が遅くなりました。整備士歴20年の現役の自動車整備士です。最後まで読んで頂きありがとうございました。
ターボチャージャーを交換する際にはPCVフィルターの交換は必須なんだ。
でターボチャージャーを交換したのに、再びターボチャージャーからオイルが漏れだしたらPCVフィルターを疑ってほしい。
そして面倒臭いとは思うけど整備解説解説書をよく読んで4P10エンジンの仕組みをよく理解し故障修理に向き合っていただけると嬉しい。
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